2018年8月16日木曜日

運転支援情報

今年度は充電のため色々な講演をお断りしているのですが、一部だけ諸事情につきお受けしています。

今週末に平成医療短期大学さん、来週は勤務先の大学、ともに卒業生の研修会で運転についてお話しさせていただきます。外部の参加は受け付けていないでしょうが、久しぶりの講演ということもあり、資料を振り返ってみると、うん、多少パワーアップしている間はあります(自画自賛 笑)

本日は、そこでは話す予定がない、運転支援とチームについて少し情報提供したいと思います。運転支援は作業療法士1人では絶対にできません。医師や教習指導員の方など様々な職種の協力のもとチームで行います。

今日はとりわけMD、医師について書きます。作業療法は医師の指示のもと行われるものであり、また運転支援においては医師の診断書作成のために作業療法士に評価などの指示がされます。したがって、医師の方々無くしてはなにもできません。私は幾人かの医師の先生方と懇意にさせていただいていますが、本当に責任の重い仕事であるなと思います。その責任ゆえに、自動車運転の診断書の作成にも慎重にならざるを得ないところがあると思います。

運転支援をしたくても、診断書の作成してしまうと、状況により訴えられるのでは?と私自身も先生方に言われた経験がありますが、そのような考えに至るのも重責のある業務上ある意味しようがないことだと思います。そういったケースの少しでも足しになればということで、下記資料を紹介したいと思います。

第185回国会参議院法務委員会(平成25年)で、佐々木さやか参議院議員(弁護士)が次のようないい質問を問いかけました。

「思うに、やはり、鹿沼市の事故*ですとか、また、それをきっかけとした道交法の改正の議論の中で、統合失調症ですとか、またてんかん、こうした方の運転がそれ自体危険であるというような誤った認識が広がってしまって、お医者様のなかでも、こうした方についての診断書を作成する場合に後で何か責任を問われるのではないかと、こういったことを心配されているお医者さんがいらっしゃるのじゃないかなというふうに思います(後略)」

いい質問ですね。

それに対して政府参考人として警察庁交通局の倉田局長が
「運転免許の付与は、必要により医師の診断を参考としつつ、公安委員会の責任において行うものでございます。医師の責任についてでございますけれども、医師が故意に虚偽の診断書を作成したような場合は別として、医師がその良心と見識に基づき行った診断に基づき作成した診断書について、結果的にそれとは異なる結果が生じたからといって、それを理由に刑事責任が問われるということは通常想定できないのではないかと考えます。」と返答しています。

しっかりとエビデンスに基づいて作成した診断書であれば大丈夫だろうと推察できます。しかし、これは刑事責任なので民事責任になるとどうなるかはわかりません。しかし、私個人の情報によると同様に確固たる知見と良識に基づけば大丈夫であろうという見解のようです。

何れにしても、良識と根拠に基づいた質の高い医療を行うために多職種で協力して運転支援をしたいものですね。

最後まで呼んてくださりありがとうございました。

*鹿沼市のクレーン車事故
てんかんの持病を隠匿し、朝の通勤時にクレーン車を運転し、意識喪失して通学中の小学生の列に突っ込み、6人の尊い命が奪われた事故。その後、家族の署名運動によって道路交通法改正がなされた。家族の手記「あの日」は私も読ませていただきましたが、運転支援の人は読むべき書籍と思います。



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